変形性膝関節症の方へ推奨する、室内でできる筋トレをご紹介します。
目次
■変形性膝関節症には筋トレ(運動療法)がおすすめ
下半身を中心とした筋トレやストレッチは、変形性膝関節症の改善はもちろん、膝関節への悪影響が考えられる生活習慣病(糖尿病、脂質異常症、高血圧など)の改善にも有効です。筋トレでは膝周囲(主に大腿四頭筋)を鍛えることで、膝の安定性が高まり、痛みを和らげる効果が期待できます。
ただし、ひざが腫れて熱をもっている場合や、強い痛みがある場合などは筋トレを中止し、医師に相談するようにしましょう。
■膝の痛みを軽減させるトレーニング(大腿四頭筋)
大腿四頭筋はひざ関節への負荷を和らげる、クッションのような役割があります。そのため、大腿四頭筋のトレーニングは、変形性膝関節症の方にとってとても重要です。
<椅子を使った筋トレ>
目安:1日あたり3~5セット
・準備
:折りたたんで厚みを持たせたバスタオルを鍛えたい方の足の下に敷く。
①片足を2秒間かけてまっすぐに伸ばし、10秒間キープする(姿勢を正すようにしましょう)。
②2秒間かけて足をおろす。
③①~②を10~15回繰り返す。
<床に座った状態で行う筋トレ>
目安:1日あたり3セット
・膝が伸びきる方
:丸めたバスタオルを膝のお皿を基準にして、鍛えたい方の太ももの下に敷く。
・膝が伸びきらない方
:丸めたバスタオルを膝のお皿を基準にして、鍛えたい方のふくらはぎの下に敷く。
①つま先を天井に向けて立て、タオルをつぶすように膝を伸ばした状態で、5~10秒間キープする。
②足をおろす。
③①~②を5~10回繰り返す。
■膝の曲げ伸ばしを滑らかにするトレーニング(ハムストリングス)
ハムストリングスとは、太もも裏側にある大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋の3つの筋肉の総称です。ハムストリングスは膝の曲げ伸ばしを可能にする筋肉です。この筋肉が衰えてしまうと、膝の曲げ伸ばしがしにくくなり、さまざまな動作に支障が出る可能性があるため、日頃から鍛えておきましょう。
ハムストリングス全体を鍛える筋トレ、半膜様筋・半腱様筋を重点的に鍛える筋トレ、大腿二頭筋を重点的に鍛える筋トレをご紹介します。
<うつ伏せで行う筋トレ(レッグカール)>
目安:1日あたり3セット
①両足をそろえ、かかとをお尻につけるように、3秒間かけて曲げていく。
(曲げる時にお尻が浮かないように注意しましょう)
②3秒間かけて足をおろす。
③①~②を10回繰り返す。
<うつ伏せで行う筋トレ(半膜様筋、半腱様筋にアプローチ)>
目安:1日あたり3セット
①鍛えたい方の片足を少し開き、かかとを同じ側の脇腹につけるように、3秒間かけて曲げていく。
(曲げる時にお尻が浮いたり、体が斜めにならないように注意しましょう)
②3秒間かけて足をおろす。
③①~②を10回繰り返す。
<うつ伏せで行う筋トレ(大腿二頭筋にアプローチ)>
目安:1日あたり3セット
①鍛えたい方の片足を少し開き、かかとを逆側のお尻につけるように、3秒間かけて曲げていく。
(曲げる時にお尻が浮いたり、体が斜めにならないように注意しましょう)
②3秒間かけて足をおろす。
③①~②を10回繰り返す。
■歩行を改善するトレーニング(足底筋)
足の裏は全身のバランスを保つ部位です。足の裏が不安定だと、歩行時にひざ関節への負担が増えてしまいます。は足の指を動かすことで足裏(足底筋)を鍛えるトレーニング・タオルギャザーは、立った時や歩行時のバランス改善に効果的です。
足裏を鍛えるタオルギャザー運動
ひざが直角になるよう
座りましょう
- ①椅子に座り、足の下にタオルを敷く
- ②足の指を使ってタオルを手前にたぐり寄せる
- ③5回やったら反対の足も
■過度な筋トレ、運動には要注意
適度な筋トレは、変形性膝関節症にとって大切ですが、膝に負担をかけすぎるような運動は、逆効果となる場合があるので注意が必要です。
例えばスクワット(しゃがみこみのような動作)のように過度に膝を曲げ伸ばしすること、また重量物を持って運搬することや、階段昇降、正座やあぐら、坂道の歩行などは、膝に過度な負担がかかりますので、避けるようにしましょう。歩行は1日5000歩以内が望ましいです。
■膝の痛みが強い場合は一度クリニックへ
筋トレは変形性膝関節症の初期に有効ですが、症状が進行してくると膝の痛みが増し、トレーニングが困難になってきます。膝の痛みが強い、または増しているという場合はトレーニングを中止し、一度クリニックで診てもらうようにしましょう。変形性膝関節症の進行が気になるという方には、MRI検査と専門医の診断が一緒に受けられるMRIひざ即日診断がございます。ひざのご状態が気になる場合はぜひ一度当院へご相談ください。